乾物の知識



干 栗

解 説 柴栗を天日で乾し、或は一旦茹でて乾し、殻と渋皮を剥いたもので、生栗代用として永く貯蔵が出来ます。山梨、福島、群馬各県および近畿地方、中国、山陰が産地。近ごろ朝鮮からも移入します。
成分及び栄養価 栗の食用的価値を調べて見ますと、これは産地や種類により変わりますが、先ず普通水分51.18、蛋白質5.48、脂肪1.37、無窒素物38.34、繊維1.16、灰分1.72であって果実としての栄養価は相富に有し居り、殊にデキストリンや葡萄糖を含んでいるため淡白な甘味は何人にも喜ばれます。漢方医書には「栗は腎の皮であって、水に属して腎を養う」とあり、干し栗を噛み砕いて腫物などにつけると熱を去り、痛みを和らげるといいます。生のままで食べると不消化であるが、干した栗はその心配少なく、きんとん等には此の干し栗を用います。
用い方 干栗は又の名「勝栗」で、昔から武将が出陣や凱旋の時には、必ずお神酒に勝栗を添える例となって、しょうがつのお飾りにまで用いられるようになったものです。水に浸けて柔らかくし栗きんとん、栗饅頭、栗羊羹その他料理や菓子の材料に多く使われます。

調 理 例

1、栗のきんとん
材 料 干栗1升、甘藷4百匁、砂糖4百匁、水8合
調理法 干栗を水に浸した後、タップリとした湯で軟らかに茹でます。早く荷上げようなら焼明礬を用い、仕上げに煮切(味醂を煮立ててアルコールを揮発させたもの)を少し加えてもよろしい。
甘藷は皮を剥ぎ、小口から2,3分位の厚みに切り、水につけ、時々取替えて半日位置きアクを抜きます。タップリと湯を用意して甘藷を入れ、極く強火でゆでます、熱いうちに急いで裏漉しにかけて置きます。
鍋に砂糖、水、食塩少量を入れて、沸騰した時に栗を入れて静かに含ませ、後甘藷を入れて強火でブツブツ飛ばなくなる位練りつめます。広い器に移してあおぎながら冷まします。

2、常磐栗
調理法 搗栗の大きなのを一夜水に浸けて置き、翌日その浸水に白砂糖と醤油を加え、汁沢山にしてトロ火にかけて落し蓋をなし、ゆるゆる煮込み、汁の減った時に多量の砂糖を加え、砕さぬように箸でかきまわし、少し汁気のあるうちに鍋を下ろし、器に移し、客のあるとき挽き茶にまぶして、小皿に3ッ位盛って出すと、珍しい茶菓子となる(野菜百珍)



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