乾物の知識



辛味料三種  調 理 例

辛子の煉り方

 からし粉を湯呑のような深い器に入れ、最初は固く練り煉り水を加へ、よくまぜて適度に軟らかくするとよいが、2~3滴の酒又は酢、極少量の砂糖を加えると永く保存が出来ます。なお灰汁抜をした辛子粉ならば粉を固くかいてから、その上に生半紙を載せて手で押さえ、沸騰を一杯に注します。そこへ焼火箸の赤くおこったのをシュツシュツと2~3度入れて、その湯をこぼし、紙をはがし、箸で思い切り強くかき混ぜ、暫く伏せて置くとよろしい。

1、数の子辛子和え
調理法 数の子を細かくちぎって置く。別の器に醤油を取り、かたい辛子と味の素を入れてよくかきまぜ、数の子を入れて和えます。

2、茄子のからし合え
材 料 茄子5個、辛子粉大匙2杯、砂糖大匙1杯、味の素
調理法 茄子を2ッに切り、水に浸してアクを抜き、蒸篭に入れて軟らかく蒸し、布巾をかけて軽く圧して水気をしぼり、短冊形に切ります。よく練った辛子を擂り潰して醤油、砂糖、味の素を適当に入れ、辛子醤油を作り、前の茄子を和える。

3、鰯南蠻漬
材 料 鰯10尾、葱少々、蕃椒粉、味醂、酢、醤油、昆布と鰹節少々、塩、胡麻油。(5人前)
調理法 鰯は大きくても小さくてもよろしい、頭をとり、腸(はらわた)を出してよく洗い、薄く塩をふっておきます。塩が廻ったところで、ざっと洗って尾をとり、2ッ3ッなりに切って、よく水気をきり、胡麻油でからりと揚げます。
鍋に水5尺と鰹節の削ったもの2匁ほど、昆布4寸くらいを入れて煮立て、醤油5勺、味醂3勺、酢3勺くらいのわりに加え、火からおろして裏漉しにかけ、これに葱少々と蕃椒粉を適度に入れ、一晩漬けておくと美味しく頂かれます。(高橋寅松氏)

4、南瓜の煮凍り芥子味噌
材 料 南瓜100匁、寒天2匁、煮出汁2合、白味噌30匁、カラシ粉5勺、酢、砂糖、塩
調理法 南瓜は適当に切って軟らかく塩茹でにし水を斬り、裏漉しにかけておく。寒天は水にひたし暫くして軟らかになった時、細かにほごし鍋に入れ、煮出しを加え、暫く煮て寒天の煮溶けたる時、毛篩にて他の鍋に漉し、裏こしなせる南瓜を和え、御飯杓子にて絶えずかきまぜ乍ら適宜の砂糖と塩にて薄味をつけ、暫く煮詰めて火より下ろし、流し箱か或は重箱に流し込み充分固まりたる頃取り出し賽の目に切って器に盛り、カラシ味噌を注ぎて供す。(注意 寒天汁のうちに南瓜を入れ煮込方のたりぬ時は、固めて後水気の出ることあり、故に充分煮詰めるがよい。)

5、どんがめ汁
材 料 茄子、味噌、粉山椒
調理法 まづ煮汁を取って、味噌を普通の味噌汁のように溶いておき、その汁をたっぷりにして、その中へ茄子のヘタも何も取らない丸のまま入れて、コトコトと弱火で中まで柔らかく煮ます。味は煮汁に味の素を少し入れるとおいしくなります。お椀についてから粉山椒をふりかけて出します(宮澤ひさの子)

6、牛肉の山椒焼
材 料 牛肉、山椒粉、醤油、砂糖
調理法 牛肉はロースのような上肉を求め、一人前一切づつの大切となし、金串に刺します。別に醤油3勺に、砂糖大匙1杯を入れ、そこへ山椒粉茶匙1杯を混ぜ合わせます。そして牛肉を炭火に遠くから載せ、脂肪焦のせぬよう団扇で風を送りながら、片面を焼いてから、又片面から火を通し、大体火が通ったと思う頃、前に拵えてある山椒醤油を3~4回もかけながら程よく焼き上げ、まな板に取って適宜に切って皿に盛り、残りの山椒醤油を注ぎます。

7、辛子漬の作り方
カラシ漬を漬込む容器は、桶よりも甕(かめ)や瓶の類で、蓋が密閉し得らるるものがよろしい。カラシ漬で一番美味しいものは秋の末の生りじまいの茄子です。この花落ち茄子の極小さいのを取って、へたを取らずに軸のみを切り捨て、一昼夜塩漬としてからへたを取り、水分をぬぐい、直ぐ漬込みます。
漬け方 カラシ粉3升、麹3升、酒7合、醤油2合、食塩適宜の材料で、粉末カラシをぬるま湯でかきまぜ、堅い団子のようにこねまるめて布に包み(紐で堅くしめ)、一晩水にひたし、翌日これを出してよくひろげ、麹と酒、醤油を加えねりまぜ、早めに食べるものは塩気を少なくするとよい。なお漬込みの茄子の下漬(一昼夜)の割合は
 茄子二貫匁、塩1升内外、水2升位
漬込みが終わったら蓋を堅くし、風の通らぬようよく目張りをしておかねばならぬ、早く食べるものの方は二週間もたてば漬かるから別に小出しの甕に出しておいて食べるようにする。出した後はまたよく目張りをしておくようにする。(村山徳正氏)

8、筍の千枚漬
作り方 筍のよいものを丸のまま柔らかく茹で、水につけて充分にアクを抜き、小口から極薄く切って置きます。次に厚板昆布を水でざっと洗って程よい大きさに切り、筍と一緒に深鉢に入れ、唐辛子粉三杯酢を加えて軽い重石をして2~3日そのまま置き、出す時には筍だけ小皿に盛ります。

9、秋なすの辛子漬
作り方 秋茄子のカラシ漬の別種のものをお話しいたします。
先ず最初20なら20、30なら30、お茄子をタテに糸で通します、これを1日か2日、糠味噌の中に入れて漬け、出したら、洗って今度はいいお天気の日、日光にさらします、かうしますと皮があまり柔らかくなり過ぎず、美味しくいただけます。別にあくぬきしたカラシ5合、糀(こうじ)1枚、味醂1合、酒5勺をよく混ぜ合わせて、甕(かめ)か瓶に移し、さきのお茄子も入れて口を密閉して暗いところに保存しておきます、1ヶ月か2ヶ月したら美味しくいただける様になります又夏の子蕪や秋の茸類もかうしてカラシ漬けにいたします。(村井政善氏)
◎醤油カビ止め=1升瓶には2匙位のカラシを粉末のまま小さい布袋に入れて糸でつり下げて水面に浮かします。
◎辛子湿布=粘辛子なればガーゼにぬって局部に2~3分あてる、若し(もし)辛子湯のときは1オンスのカラシを先づ粘って、2升程の熱湯に入れ、よくまぜてからタオルで絞って局部を湿布すると宜しい、子供のときは成るべく薄くする事が必要です。



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