乾物の知識



寒天の調理法

調 理 法

1、ゼリー
材 料 寒天2本(角寒天1本の目方は約2匁・約7.5g、糸寒天ならば同じ目方を用いてよろしい)、砂糖(40匁・約150g)、香料(少々)
調理法 寒天は前日から水に浸して置くとよろしいですが、急ぐ時は3~4時間も水に浸けて置けばよい。
 鍋に水8合を入れて火に掛け煮立った時、水に浸けた寒天をしぼって出し、鍋に入れて炊きます。そして寒天がよく溶けた時に火から下ろし、漉しながら別の容器に移し、熱いうちに砂糖を加えてよくかき混ぜ、好みの香料を入れ、ゼリー型に流し込みます。すっかり冷ましてガラスなどの器物に盛って勧めます。
 苺ゼリーはゼリー型に入れる前、苺汁を加えるか、苺を二つに割って型に入れ、寒天を流し込めばよく。クリームゼリーは寒天の煮とけた時牛乳(冷やしたままでよし)を入れてよくかき混ぜればよい訳で、その他いろいろの果汁を用いれば風味の変わったゼリーが出来ましょう。

2、日の出密柑
材 料 寒天(1本)、砂糖(40匁・約150g)みかん(9個)
調理法 水に浸けて置いた寒天を鍋に入れ、水3~4合を注して煮立て、寒天がすっかり溶けたら漉して砂糖を加え、もう一度煮ます。
 別に蜜柑のヘタの方を切り放し、皮を壊さぬよう中の実を取り出し、布巾でよく汁を絞り取ります。この汁を寒天に加えて食紅で少し色をつけ、実を抜いた蜜柑の皮の中へ流し込みます。これを冷まして皮のまま器に盛って出します。
注意 寒天を煮る時の水加減は、仮に蜜柑汁が1合5勺あったら、水の量をみかん汁の量だけ減らす、即ち蜜柑の汁量によって水の量を加減するのです。

3、ねり羊羹
材 料 赤あん(150匁・約562.5g)、五温糖=白ザラメ(100匁・約375g)、寒天(1本)
調理法 寒天を2合5勺ぐらいで煮て、よく溶けた時に五温糖(白ザラメ)を入れ、砂糖がすっかり溶けるまで煮ます、それを漉して鍋に入れ、赤あんを加えてさらによく煮詰めます。煮詰加減は餡がブツブツ煮あがる程度まで、煮上がったら火から下ろし、別に流し箱に胡麻油を薄く引いて寒天の煮汁を流し込み、そのまま冷やして置きます。
注意 流し箱に油を塗るのは羊羹を箱から取り出すのに楽に出すためです。これに大納言豆を砂糖煮にしたものを入れると小倉羊羹になります。また餡を煮詰める時、上にアクが浮きますから、これを綺麗にすくいながら煮ること。 

4、きんつば
材 料 粒あん(250匁・約937,5g)、砂糖(1合5勺)、寒天(1本)、メリケン粉皮用(1合5勺)、片栗(少々)
調理法 餡はねり羊羹の時のように充分固く煮詰め、流し箱に流して冷やして置きます。
メリケン粉は粉ふるいで良くふるってから鉢に入れ、1合の水を少しづつ入れてかきまぜ、極少量の片栗を加えます。
餡がすっかり冷えたら箱から取り出し、好みの大きさに切り、そのまわりに薄く片栗をまぶし、一方に溶いたメリケン粉をつけ、熱した鉄板又はフライ鍋の上で焦げ付かぬ程度に焼きます、こうして廻りをすっかりメリケン粉の皮で包みます。

5、川竹豆腐
材 料 絹ごし豆腐(2丁)、寒天(1本)、出汁(2合)、塩(大さじ1杯)、わさび、濃口醤油、味の素
調理法 寒天を水に浸し置き、豆腐は裏漉しにします、鍋に出汁又は水と寒天を入れて火にかけ煮溶します。煮溶かしたら裏ごしにして塩と味の素で少しからい目に味をつけます。それに豆腐を入れて流し箱で冷まして固める。すっかり冷ましたら7~8分位の角に切って67個盛り、おろしわさびを添え濃口醤油ですすめます。これはビールや酒のさかなに結構賞味されます。

6、チェリーゼリー
材 料 寒天(3本)、赤寒天(1本)、さくらんぼ缶詰(1缶)、砂糖(寒天1本につき40匁・約150gの割合)、香料(少々)
調理法 寒天をよく煮溶かします。次にさくらんぼの汁と砂糖を加え煮ます。香料を加えて流し箱に入れます(湯呑茶碗でもよし)。少し固まりかけた時、さくらんぼが一切れの真中に1個あるように並べて置き、よく固まった時に取り出して切ります。1人前に3切れ位、茶碗のものならば1個盛りとします。

7、鯛奴(4~5人分)
材 料 寒天(半本)、鯛切身(20匁・約75g)、味の素(少し)、塩(少し)、味醂(少し)、花丸胡瓜(1本)、順才(少し)、大根、わさび、薄口醤油
調理法 寒天2本を2合5勺の水で解かし、1合5勺に煮つめる、味の素少し、塩及び味醂を小さじ1杯位加えて冷まして置く。
鯛は45分角に切ります。胡瓜は小口切り、順才は茎の硬い所だけ取除く。寒天の冷えて固まりかけた時、右の品を入れてよく混ぜ、流し箱に入れて冷まして適宜に切ります。大根おろしとわさびを添え、薄口醤油で勧めます。

8、淡雪クリーム掛け
材 料 牛乳(2合)、卵黄(4個)、メリケン粉(5匁・約18.75g)、砂糖(20匁・約75g)、レモン香料(2~3滴)
調理法 上記はクリームの材料で、まずメリケン粉を粉篩でふるい、それに卵黄、砂糖を入れてよくねり、牛乳を少しづつ加えて溶かしてから火に掛けてどろりとねり、香料を入れます。
淡雪の材料 寒天(2本)、砂糖(80匁・約300g)、卵白(5個)
調理法 水2合に寒天を入れて煮溶かして後砂糖を入れて漉し、再び火に掛けて煮詰めます。(注意、煮詰める程度は液を杓で引揚げて、その液が線状を呈して落ちるくらい煮詰めること)その液に卵白5個分を泡立ちしてから流し込みつつ攪拌して型に流し込み、冷却して適宜に切り、器に盛り、前記のクリームを掛けます。

9、清汁(5人分)
材 料 かしわ(25匁・93,75g)、椎茸(5つ)、細寒天(10本)、煮出し汁(5合)
調理法 椎茸はよく洗って茹で石付きを切り捨て置く。細寒天は水に浸した後1寸位に切り置く。
煮出汁は熱湯5合に味の素を茶さじすりきり1杯を入れ、薄口醤油少々と塩とにて加減を見、かしわと椎茸と入れて煮立せ、お碗に寒天を盛りいれたる上に注ぎ出すのです。(材料は何でもよろしい。こういう風に取り合わせます)

10、ひやし汁
材 料 木耳(3個ほど)、胡瓜(半本)、細寒(60本)、煮出し汁(5合)、生姜絞り汁
調理法 木耳はよく洗って水に浸し極細き纎(せん)に打つ、胡瓜は皮を剥ぎ幅5分、長さ1寸、厚さ1分位の短冊に切る。
鰹の煮出しをとり味を調え胡瓜と木耳とを入れて暫時煮て後冷まし置く、冷めたる後生姜の絞り汁をたらし込み、水に浸して1寸位に切たる寒天と共に碗に盛る。夏向きの野菜の御吸物として面白し。(これも材料は自由に使えます)

11、お菓子(櫻羹8人分)
材 料 櫻花塩漬(2匁・約7.5g)、櫻桃・さくらんぼ(16個)、夏密柑(45袋)、角寒天(2匁・約7.5g)1本、水(4合5勺)、砂糖(80匁・約300g)、飴(20匁・75g)
調理法 寒天を水に浸し、軟らかくなったものに水4合5勺を加えて煮とかし、1度裏ごしをいたします。再び鍋に移して砂糖と飴とを加え、飴の煮とけるを待って火からはずします。
夏蜜柑は細かい袋のままにサバキます。
櫻花は熱湯に投じパッと花が開いた時直ぐ火からはづして、笊(ざる)に取上げておく。これは塩を取るためと花弁を開かせておく為です。花の匂いのぬけぬ程度に茹でます。まず櫻花と夏蜜柑とを入れまぜて、流箱に入れ冷めてかたまりかけた時櫻桃(さくらんぼ)を入れます。桜桃はナポレオンの様な上等の大粒のがよろしい、なお又寒天汁を薄桃色に染めてもよろしい。
冷えた時箱の周囲に包丁を入れ、箱を立てて俎板(まないた)の上で2,3度軽く叩く様に四方共うつと底がはづれます。ぬれた俎板で蓋をして俎板と箱と一緒に持ち逆さまに俎板の上にふせますと箱を取りはずされます。適宜に切取ってガラス器に入れ匙(さじ)など添えて進める。

12、蜜豆
調理法 寒天を煮たとろとろの液を固め、あられに切って豌豆(えんどう)の茹でたもの又は餅を細かく切ったものを交ぜ、砂糖蜜をかけて食べるものです。以前は下等の食品として卑しめられたものですが近年は上等の蜜をかけ、干し杏等を添えて、市中の食堂で売るようになりました。



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