乾物の知識



切荒布(きりあらめ)

解 説 褐藻類、温暖な海底に産し、黒褐色を呈するので、黒布(くろめ)の別称あり、瀬戸内海および南紀州海岸に饒産(じょうさん)します。真夏に採取して乾燥される。その製法には
◎塩乾荒布 塩抜きしないで乾燥したもの。
◎塩抜荒布 淡水で洗い乾燥したもの。
◎煮干荒布 一旦淡水で煮て乾燥したもの。
◎ 刻荒布 一度乾燥したものを湯煮して木枠に入れて圧搾し鉋(かんな)で削り乾燥したもの。
等の区別があります。

成分及栄養価 海藻中でも特にヨードの含量が多く、ヨード採取の原料に供せられるほどです。古来、和布やヒジキと共に其の食養価を認められ、大阪の商家では月何度と日を定めて使用人に食べさせる習慣があります。成分から見ては和布、ヒジキと略(ほぼ)似たものですが、荒布には含水炭素(炭水化物)が多くカロリー量は前二者に比し一段勝れています、動脈硬化症を癒し(なおし)、老衰を予防すると医家が説いてます。

用い方 これも縁起物の一つ、正月元旦の神錢(しんせん)には、きっと供えられるもの。調理法としては、酢を加えて煮くと(たくと)柔かく賞味出来ます。味噌汁に入れるとトロロのような粘り気が出て汁の味を増します。水に浸し、醤油と砂糖を加え、蜜のようになるまで煮立てたら魚菜の附合(つけあい)となります。吸物、和え物、三杯酢、甘露煮などにも適当です。

あらめ胡麻和え
調理法 よい程に切り、ざっと湯がきて煮出汁、味醂、醤油、砂糖で煮て、摺った胡麻を混ぜて再び煮ます。
◎荒布の茹で汁で腰湯すると痔を治すに効があるようです。



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