乾物の知識



干蕎麦

解 説 蕎麦は蓼科(たでか)の植物で、中古支那から移植され、近畿を中心に栽培を見たといいますが、今は全国どこでも栽培せざるははなく、夙に(つとに:ずっと以前から)長野県はその産地として響いています。欧米や支那でも生産するけれども、その質と味において到底わが国産の非でないそうです。
 干蕎麦の原料は蕎麦粉と小麦粉を用い、そして干饂飩と大体同じ製法を採ります。信州産が優良で、つぎに奈良県、兵庫県の淡路、熊本県あたりが名産地となっています。
用い方 干饂飩と同様の茹で方でいろいろ調理法があり、生蕎麦代用を勤めます。(干蕎麦1束は40匁ですから蕎麦玉の約5個分に当たります)

調  理  例

蕎麦汁の拵え方

蕎麦汁を作るには、まず水1升の中へ鰹節10匁を入れて煮出す、約8合位になるまで煮詰めてカエシ(「煮かえし」の略された物で、蕎麦汁(そばつゆ)に使われる調味料)2合、味の素茶匙半杯を加えれば、もう汁となります。この汁を蕎麦屋では煮釜の銅壺へ湯煎にして煮立たせ、後からカエシや煮出汁を加えるのが特徴で、また秘伝として居ります。なおかけ汁も盛り汁の約3倍位にのばしたものです。
カエシの造り方 (本かえし)上等醬油1升、白砂糖本ザラメ100匁乃至110匁、味醂2合乃至2合5勺、以上を合わせたものを沸騰させて甕に取って置く時、味の素約5分を加えるのです。(生かえし)砂糖100匁に約5合の水を入れいくらか醤油を入れて煮たたせた上、醤油1升を入れ口味醂と申して味醂を少し加えます。

1、筍そば、松茸そば(一人前)
材 料 蕎麦1玉、筍20匁(松茸ならば10匁)、鶏肉5匁、蕎麦つゆ7勺、山葵
調理法 竹の子又は松茸を体裁よく切り、鶏肉も細かく切り、山葵は摺りおろして置きます。
小鍋に「そばつゆ」をわかし、鶏肉松茸を入れてザッとゆで、温めた蕎麦にかけます。

2、カレー南蛮(一人前)
材 料 蕎麦玉1つ、ネギ半本、鶏肉7匁、カレー粉小匙半杯、片栗粉小匙1ぱい、そば汁1合
調理法 そば汁を鍋に入れ煮立たせ、鶏肉とネギを入れ、カレー粉と片栗粉を水溶きして流し入れ暫く煮て蕎麦を温めて丼に入れた上から掛けます。(肉南蛮も別に変わりません)

3、蕎 麦 鮨
材 料 茹でた蕎麦、乾海苔、卵、椎茸、三つ葉、砂糖、煮汁、薬味(大根おろし、山葵)
調理法 卵は卵焼鍋に砂糖、煮汁、塩少々を入れて3分位の厚さに焼き、椎茸は細かに、三つ葉は一寸茹でておきます。乾海苔はざっと焙って香りのつく程度にして置きます。そして簀(すのこ)の上に焼いた海苔を敷き、茹でた蕎麦を簾のように三部厚さ位にひろげ、中に二分巾位に切って卵焼1本、椎茸、三つ葉等を入れて小口から海苔巻きのように巻きます。出来ましたら、よく切れる包丁で7つ位に切り、縦に向けて下に4つ、中段に2つ、上段に1つを体裁よく盛り合せ、前のように辛目の煮汁を別の器に入れて出し、大根おろし、山葵の薬味等を添えて出します。

4、蕎麦の饅頭蒸し
材 料 茹でた蕎麦、鯛、山葵、葱、煮汁
調理法 鯛を2枚におろし、3つ位に切ります。その一切れを横に包丁を入れて開き、皮の所で止めておきます。それをぐるりと開いて幅ひろのものにし、おろし山葵の微塵切りを一寸つまんで中央に入れ、中に蕎麦を少し入れて饅頭の皮のように周囲を集め、布巾に包んで蒸します。15分もすればきれいに魚が固まりますから蒸篭から出します、これは丁度魚の血合いが真中にに出て、花の芯ののように美しいものです。お汁はやはり前と同じく甘辛く仕立てたものを別の器に出します。
◎蕎麦粉を少しづつ食すると絛虫(じょうちゅう:さなだむし)が出なくなります。
◎蕎麦を愛用すると腎を強くし、気を下ろし、胃腸を弛めるといいます。



All Rights Reserved 食品産業情報センター 福岡県朝倉郡筑前町依井1091-3
リンク

海苔ジャーナル
 エキスプレス

こんぶネット