乾物の知識



胡 麻

解 説 胡麻の種実、白、黒、茶の三種あり、これをシロゴマ、クロゴマ、チャゴマ(キゴマともいう)と呼びます。内地では各地に多少とも産出しますけれども、本邦の需給状態は大不足を告げるので、大部分は輸入品で、満州、中支、南支、ビルマ国などから輸入を仰ぎます。
成分及び栄養価 胡麻は延命長寿、強壮補精に効あり、最も栄養豊富の食品と認められています。本草綱目には「気を増し、肥肉を長し、髄脳を満たし、筋骨を堅くし、耳目を明らかにし、肺気を補い、心驚(しんきょう)を止め、大小腸を利し、久しく服すれば老いず」とあるから、全く珍しい万能食餌といいましょう。その成分及び栄養価を掲げると下記の通り
    水 分  蛋白質  脂 肪  炭水化物 灰 分  カロリー(g)
白胡麻6,9320,5451,5712,68.366,81
黒胡麻6,6519,6544,1519,4310,126,72

 しかしとて生理上からは黒胡麻の方が勝るとされます。黒胡麻は主として食用に、白胡麻は製油用に、茶胡麻は香気特に高く茶人向きに賞用されるが、産額の少ないもので、大衆向きではない。
 胡麻の効用は壮者老者には強壮食品として喜ばれ、婦人には頭髪の色艶を増すとて愛用され、極めて優良なる食料品たるは前表によって絮説(じょぜつ)を要しません。
用い方 食料品 菓子材料として用途広汎であります。野菜類との和え物、胡麻汁、胡麻塩、胡麻味噌、胡麻酢等々。そして胡麻油は食料油中の秀逸であります。
◎発熱した場合、生胡麻を煎じ冷して含嗽(がんそう:うがいの事)すると良い。
◎胡麻には滋養品として巨勝子(漢方薬の原料)の名あり、また薬品には巨勝圓というのがある。
◎日本薬局法では、胡麻油をオリーブ油代用に指定し、擦剤(皮膚にすり込んで用いる,液状または泥状の外用剤)、硬膏(常温では固形で,体温に接すると粘着性を生ずる膏薬。 ↔ 軟膏 )、軟膏に用い、また之を服用すると便通を良くし、毒蟲を下すに効ありという。

調  理  法

1、胡麻酢の作り方
材 料 白又は黒胡麻5勺、豆腐1寸角位、砂糖大さじ1杯、酢少量、味の素、食塩
調理法 白胡麻を煎ってよく擂り潰し、豆腐を加え、砂糖、味の素を加え、酢少量にて少し硬目にドロリと伸ばします。(酢は酢酸を含んでいる為防腐的効果あり、また、さっぱりしたその味は春から夏にかけて食欲を進めるものです)

2、胡 麻 豆 腐
材 料 胡麻、葛粉、醤油、酒、油、生姜、味の素など整うこと
調理法 先ず葛粉を煮る前に、胡麻をよく水洗いして砂気を去り、炒って置く。
葛粉は葛饅頭を拵える時と同様に、水2合に対し粉1合位の割合で溶かし、トロ火にかけて掻き回しながら煮詰めますと、透るようになります。
そこへ根生姜を摺り下ろして入れるもよし、ミジンに切って混ぜてもよく、炒り胡麻と共にかきまぜて直ぐ火から下ろし、浅い箱に詰込み、蒸し上げます、冷ましてから箱より抜出し、奴豆腐位に切り、油で焼き酒、醤油と味の素を混ぜた汁で味をつけ、そのまま皿に盛って供します。

3、里芋の胡麻汁
材 料 里芋、茗荷、青柚子、胡麻、醤油、味の素
調理法 始め丸のままの里芋を、清汁(すましじる)の実に入れて煮、清汁は少し濃い目に味をつけて1度煮立てます。次に胡麻のよく摺ったのを入れて、煮立ったら茗荷を入れ、熱いうちに頂きます、吸口には青茄子等を添える。また頂く時に、さらに炒り胡麻をふりかけて熱いうちに食すると香ばしくて気の利いたものです。

4、胡麻和え
調理法 白胡麻、黒胡麻いずれも材料によって適する方を用う。
胡麻の洗い方は、器に入れ、水を加えて、浮き上がるゴミを除き、ゆすぶり乍ら幾度も洗い流すと遠心力の作用で砂粒等は下層に沈むから、器を替えて之を除くがよい。
次に砂を除き、炒って、熱いうちに擂鉢に入れて脂肪の出るまで摺る。砂糖を加えて後、手でもみまぜ、塩で味を調える、材料によって醤油を用いることもあるが、砂糖を加えて後は摺らぬ方がよい。かうして出来たものに材料を加える。

5、茄子胡麻和え
材 料 茄子150匁、黒胡麻5勺、砂糖スープさじ1杯、醤油3勺
調理法 まづ茄子の皮を剥き、竪2つ割として軟らかく茹で、布巾に包み軽く壓して短冊形に切って置きます、次に胡麻を煎ってすりつぶし、砂糖、醤油、味の素で味をつけ、茄子を入れて和えます。(胡麻和えものの応用範囲は広い、すべてに応用して下さい。)

6、冬瓜の胡麻味噌
材 料 冬瓜、胡麻味噌、煮汁
調理法 冬瓜を適当に切り、水洗いして熱湯で柔らかに茹で、水気を切って冷まします。これを適度に切って皿に盛り、胡麻味噌をかけます。
胡麻味噌は、まづ味噌を擂鉢でよくすり、裏ごしにかけたものを鍋に入れ、煮汁と砂糖を入れて煮、どろりとなった所へ、別に胡麻を摺って加えます。

7、胡麻塩御飯
材 料 黒胡麻大さじ2杯、塩18匁、煮干粉18匁、にんじん又はキャベツ37匁、味の素少量
調理用 くろごまを香ばしく炒って半つぶしにしたものに、少量の味の素と塩及び煮干の粉末と、微塵切りにしたキャベツ或は人参を混ぜてご飯の上にふりかけ、更に青海苔の粉等をふりかけます。



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