清武管理栄養士から
“豆”は“マメ”に炊く
管理栄養士 清武 泰子
平成24年4月18日更新
「かんぶつ」を手軽にと思い、様々な「かんぶつ」でいろんな事を試していますが、豆類はなかなか手軽にとはいきませんねぇ。
春の彼岸に実家から「ぼたもち」が届きました。私にとってのおふくろの味は、この「ぼたもち」と言ってもよい。それ位大好き!!。もちろんすごくおいしい!!。有名店から買ったぼたもちよりも絶対おいしい!!(笑)。
『手前みそ』なんて言葉もありますから、母のぼたもちを手放しでほめるのもちょっと恥ずかしいのですが、母のぼたもちを待っているのは私だけではありません。たくさん作ってあの方に、この方にと差し上げるので、ファンが多くて、ぼたもち食べたさに小豆やもち米を差し入れして催促する人もいる位です。
このマメな母のおかげで、私は自分で「ぼたもち」を作る事は、これまでほとんどありませんでした。でも、この年になってやっぱり自分で作ってみなきゃね、と挑戦するのですが、母のように上手においしくできない…。家人曰く、「おばあちゃんの足元にも及ばない」と。
一体、何回位作ったら、いくつになったら、この味に近づけるのかなぁ……。
母は、小豆だけでなく“豆”の扱いが上手なんです。うずら豆、金時豆、大豆、黒豆、等々。ほとんど一晩水につけて、やわらかく煮て、砂糖で味をつける単純と言えば単純な料理なのに、どんなコツがあるんだろう…。まあ、母は和菓子屋から嫁に来た「あんこ育ち」、豆の事なら体が知っている、と言う事でしょうか。
私に教えるより自分で作った方がおいしく出来るので、さっさと作ってホイッと持たせてくれますから、これでは、私はいくつになっても上達しないのが当たり前か、な~んてネッ。
夫も幼い頃、同じ年頃の仲の良い友達の家に行くと、必ずおばあさんの炊いた煮豆があって、そのおばあさんイコール「煮豆」と、セットで思い出すそうです。その頃は、冷蔵庫もなく、保存の効く常備薬と言えば砂糖を効かせるか、塩を効かせるか、要するに、すぐ傷まないようにするには、砂糖漬けか、塩漬け位しかなかったのでしょうね。ごはんと、豆を煮たのと漬物があれば、一食はそれで充分だったのかも知れません。
女性が社会に進出して食事作りに時間をかけられなくなって、食卓から消えてしまった常備薬は「煮豆」かもしれませんね。豆類は「かんぶつ」の中でもいきなり炊けないし、特に、今の若い人達には敬遠されるのでしょうか。煮豆は家庭で作るより出来上がった物を買う時代になりつつあるのかも……。
だけど、最近は豆の良さが栄養的にも見直され、食べ易くするために缶詰、真空包装、ドライパックなど、いろんな保存方法のいろんな豆が出回るようになりました。
一晩水につけておく手間や、やわらかく煮るのが大変なら、こんな製品を使うとぐっと楽です。単品でなく数種類をミックスした物はサラダやスープにと、これまでとは違った料理にも使える優れ物です。やわらかくする大変なところを省き、自分の豆料理に挑戦!と。
いつも出来上がった煮豆を、母にホイッともらう私ですが、皆にほめられたくて試行錯誤しながらン十年…。黒豆だけは何とか自分の料理になりました。
まだまだ私の豆料理も発展途上ですが、これは私の自慢の一品だ!と言える豆料理、何とかもうひとつ作りたい…。母が元気なうちに、何とかぼたもち作りのコツをマスターしたいと、ひそかに狙っているんですがねぇ…。
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