乾物の知識



苔類いろいろ

十六島苔(うつぷるいのり)
 この苔は、出雲の十六島に産するので此称あり、干海の岩面に付着し長さ3尺、髪のように細長く、紫黒色を呈しています。
用い方 水に浸して後、三杯酢や鱠(なます)に入れて用い、また刺身のツマとして賞美されます、歯切りがあって味頗る(すこぶる)美、海苔中の珍品視されたものです。

櫻苔
 日本海の荒波を受ける越中から能登の沿岸(紀州海岸にも)に多く産し、巌面に着生するもので、軸は黒いけれども藻の端は薄紅色を呈した美しい苔です。
用い方 これも水に浸してから、十六島苔(うつぷるいのり)同様に用いましたが、近年に至りキンコやナマコの繁殖を妨げるというので採取を止められ、今は市場にその商品を見受けません。

昆布苔
 播州名産で細かい昆布のようです。これも用途は前と同じ

苔の木(のりのき)
 伊勢湾岸のがん岩面に着生するもの、用途前と同じ。

白 藻
 泉州から紀州沿岸にかけて産し、採取常時は淡紫色を呈するもこれを乾燥すると白くなり、紡いだ苧(お)に似ています、主として三杯酢、刺身のツマに用います。

 その他海苔類には、以前いろいろ変わったものあり、大阪乾物商仲間の販売品として珍重されましたが時代の変遷とともに、以上諸品の如き採取をやめたもの、根絶えてしまったもの、嗜好の変化で需要がなくなったもの等、種々の原因で、既に乾物界から姿を消しています。

近頃、日本の乾物苔や昆布がアメリカへ輸入されて来る。サンフランシスコの日本輸入商に聞くと、「スープ材料として、ケーキの味つけとしてブレッドの中へも大分混ぜるようになってきました。将来日本からの海苔の輸入が有望です」といっていた
なぜ海苔が売れ始めたか、その理由は東部の何とかいう医師が、一種の地方病を発見し、その原因をアイオダイン(ヨード)の欠乏によると発表したことに発端している。この病気は喉の甲状腺の拡大して、頚の表面が突起して来る病気で、これを治療するには、アイオダイン(ヨード)と鉄とが必要で、アイオダイン(ヨード)の食物としては海藻が一番良い、こういうことから米国で海藻を多く食べ始め、昆布の粉が盛んに売れ行き、海藻が販路を広げつつあるのだ。(在米 二宮利作氏の通信)



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