乾物の知識

實胡桃

解　説　胡桃樹の果実の仁、即ち果皮を剥ぎ、仁を採って乾燥したもの。長野、福島両県が屈指の産地です。
成分及び栄養価　胡桃仁の眞価は昔から人々に解釈され、殆ど世界的といってよい。支那では一名仙人食と謂はるる程で、山中の隠棲者（いんせいしゃ）が木の実（主として胡桃）を食って百寿を保ったといい一邦人船長の如き凡て（すべて）の食物を拝し、胡桃ばかり食べて健康を誇ったという逸話もある。その成分は脂肪が５９．１８％、蛋白質２８．４７％、ほかに含水炭素（炭水化物）、無機物質を相当に保持し、カロリー量は（ｇ）６．８０（匁）２５．５０という実に高率のものです。牛肉や豚肉、バターやヘツト（牛の脂から料理用に溶かして抽出された油）を攝る（とる）よりも、胡桃によって純良無比な脂肪を取ったがいいでしょう。ヴィタミンはＢを多量に含み、Ａ、Ｃも微量あり、灰分中にはカルシウム、燐、鉄その他を含蓄しています。古来、松の實と共に身を軽くする植物といはれ、中風症（半身の不随とか、腕や脚のマヒする病気）や血管硬化症に効能があり、強腎剤、駆虫剤ともなります兎に角、滋養豊にして、しかも香味を有する絶好の食品です。
用い方　料理向きとして飴又は砂糖で味をつけ、取合せに用いる。菓子としては用途が廣い。胡桃油は快香あり、食用のほか、高等な絵具用、ボイル油原料となっています。


調理法　仁を鉢でよくすり、味噌と砂糖を加え、醤油または食塩を入れ、さらによく摺り混ぜて、何なりと材料を加える。

材　料　くるみ１升、水飴２合、砂糖２００匁
調理法　くるみを遠火でいり、冷まして置きます。水飴と砂糖を鍋に入れてかきまぜ、一寸（ちょっと）煮返して煮詰め、前のくるみを入れて枠に入れ、表面を濡れ布巾で押さえ均して冷まして切ります。　
或は砂糖２００匁を鍋に入れ、水１合程を入れて火にかけ、スリ蜜になる位に煮詰めた時、クルミを入れてかきまぜ、折に入れて形をつけます。