乾物の知識



菌茸乾燥品の特長と調理法:岩茸

岩茸(いわたけ)

解説 地衣類、いわたけ石茸とも書き、中国ではせきし石芝といいます。高山の岩面に着生し、薄い葉状のもの。表面は灰色、裏面は黒色で、ちょうど粗い木の皮を剥いだようなものです。鹿児島、宮崎両県は主産地、飛騨山中その他からも出ます。近年は朝鮮の金剛山から産出の優良品が国内市場に大量に輸入を見るようになりました。
成分及び栄養価 健康の勝れぬ人が続けて食すると血色を増すといい、また、強精の効著しく、中国人の珍賞するところ。老人が常用していると紅顔美目、眼を明らかにするとあります。味噌汁の実にして用いると下痢を止めるそうです。
用い方 魚菜いづれの料理にも適し、平椀にも、刺身にも、盛り分けにも、坪にも、汁や蒸しものにも用いられ、応用の途が頗る広い。次に、林春隆氏著「野菜百珍」の一節を抜書きして置きましょう。
 
調 理 例

岩茸は良く洗ってすなけ砂気を去り、それをゆに湯煮して、冷めてから、掌中でそろそろと念を入れて良く揉む。俗に青空を仰いで揉むと色が良く出るなどいうが、こうして揉むと、紺碧の色が岩茸の粘りとともに出る。これを適宜に包丁入れて切り離し、いずれのものに用いるにも、酒しほと薄醤油で(少し砂糖を加え)いい加減の味をつけて置く。

岩茸の煎餅 先に湯煮した岩茸を酒しおと薄醤油で味をつけ、適宜に包丁を入れて、平湯葉に巻いて(止め口は葛粉を溶いて開かぬようにする)、それを胡麻油で揚げて小口切りにする。別に巻煎酢を添える(けんちん酢は、酢に醤油と食塩とを少し加え煮冷ましたもの)。
岩茸粟蒸し 前例のように味付けした岩茸に粟を混ぜ、それを竹の皮に乗せて蒸す。
岩茸和え 前例のように煮味をつけたものを山葵、辛子、粉山椒、胡麻などに和える。
汁もの 茶碗のものには、岩茸は必ず後から岡入りにすること。
寄せ百合と岩茸蒸 これは、百合と共に味付けし、岩茸を共に入れて蒸揚げる。



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