乾物の知識



菌茸乾燥品の特長と調理法:椎茸②

5.椎茸の御薯鮨
材料(6人前) 椎茸中30匁、山の芋(つくねいも)100匁、紅生姜15匁、砂糖、塩、味の素、乾海苔。
調理法 椎茸は味付けして足を切り、汁気を去っておく。次に山の芋の皮を剥き小口切りにして茹でるか、又は蒸して暖かい間に裏漉し砂糖、塩、味の素で味付けし、竹簾の上にぬれ布巾を固く絞って広げ、その上に椎茸の表の方を下にして何枚も並べ、次に山の芋を少し乗せ(丁度鯖ずしを作ると同じ)、乾海苔を一寸位の巾で長いまま芋の上におき、中央に少しくぼみを作り、その真ん中に紅生姜の細切りを入れ、更に芋を乗せ、次に簾布巾共に裏返し、角型にて長い拍子木型に作り、後簾及び布巾を取り、小口から四、五分に切ってお皿に盛り、残りの紅生姜を細く切ってあしらいて用うる。

6.椎茸の鳴門巻
材料(6人前) 椎茸30匁、キャベツ50匁、かつお出汁2合、砂糖、淡口醤油、味の素、人参少々。
調理法 椎茸の味付けしたものを足を切り、キャベツの茹でたものを水気を去って竹簾の上に広げ、その上に椎茸を四寸位の長さに(横は随意)並べ、小口に人参の細切りをキャベツで少し巻いて、それを芯にして小口から固く巻き各所を紐でくくり、後お鍋に入れ出汁と砂糖、醤油にて良く煮て、十分味が含んだ時、味の素を加味して直ぐ火より下ろし、次に適宜に小切りに致し紐を去り、小鉢の盛り煮汁をかけて進めます。尚又煮なくて小口切りとし、胡麻醤油又は胡麻酢をそえて進めるのも結構であります。

7.椎茸の海老月冠
材料(6人前) 椎茸30匁、小海老100匁、砂糖、塩、胡椒、味の素、メリケン粉、バター各少々。
調理法 椎茸の味付けしたものを足を切り、汁気をふき取りオサ(椎茸の裏側)の方にメリケン粉を薄くぬりつけ、次に小海老の皮を剥いて水気を去り、少量のメリケン粉、塩、胡椒、味の素を加えて良くす擂り、それを椎茸のオサにぬりつけ、後つけた海老の方にバターを少しぬりつけてフライパンに海老の方を下にして入れ、蓋を完全にして3~4分蒸し焼きに致し、海老のすり身が固くなった時取り出し、お皿に適宜に盛り分け、なにかあしらいを添えて進めます。
 以上7種は日本割烹講習会長・辻徳光氏選定。

8.椎茸飯
調理法 椎茸の上等なものを水に漬けて軟らかにし、細かく切って醤油と味りんで下煮をして、お米の方へも味をつけて置いて炊込みます。もう一つ、ご飯を炊いて移す時混ぜてもよろしい。これに豆腐の汁物を添えると味が良く合い、また、豆腐の蛋白質が椎茸の毒性を吸収して毒消しにもなります。これは大層食欲を増すものです。

9.冬茹米粉(トンクービーフン)
材料 米粉3把、椎茸25個、青豆、醤油、骨スープ5合。
調理法 まず椎茸は米の砥汁に漬けて軟らかにし、石附を除き、良く水洗いしてザッと茹で、灰汁を抜き、二つ切位に致して置きます。米粉は茹でてから水をかけ、良く水気をたちます。それから鍋に骨スープを沸かし醤油で適宜の味をつけあまり強くない火で椎茸をしばらく煮込みます。火から下ろす直ぐ前に味の素で調味致し、茹で揚げた米粉を丼に盛り込み、熱い汁をかけて青豆をパラパラとあしらい胡椒など振りかけて供します。
 備考=米粉(ビーフン)は日本の豆腐とやや同じもので、原料は緑豆の澱粉で作ります。内地へは台湾名物として移入されるので大きな食料品店で売っています。

10.椎茸のグラタン
材料 椎茸35個、白ソース1合5勺、青豆3勺、パン粉大匙1杯、バター少々。
調理法 椎茸を洗い、足を2分程残して切捨てて置き、濃い目の白ソースに入れてザッと煮込み、青豆を加え、グラタン皿かバイデツシュに盛り込み、上にパン粉とバターを混ぜて振りかけ、天火に入れてパン粉に焦色のつく位焼き熱いうちに食べます。
 備考=白ソースはバター大匙一杯を小鍋に煮溶かして、小麦粉大匙山かけ一杯入れ、牛乳1合5勺を追々に入れてドロリと延ばし、味の素、食塩、胡椒、セリー酒かブドウ酒などで味をつけて用います。

11.香菰川鶏片(椎茸と鶏肉のスープ)
材料 椎茸4~5個、鶏肉台身20匁、スープ2~3合、片栗粉少々、醤油3~4勺、塩少々、味の素。
準備 鶏肉は刺身ように切る。椎茸はなるべく生干を用い、水に浸して軟らかくなったら、斜めに薄くそぎます。醤油、味の素を溶いた中に鶏肉を20分間位浸けて置きます。
調理法 鍋にスープを沸かし、まず椎茸を入れ、充分沸騰致しましたら、前の鶏肉を一片づつ丁寧に片栗粉にまぶしてスープの中に入れます。鶏肉は片栗粉が充分固まらぬ内に重なり合うと密着致しますから注意して入れます。暫くして再び沸騰したらスープに味をつけます。

12.合 菜(ホーツテイ)
材料 椎茸、干瓢、雲呑皮(ワンタン)、種油、醤油、味の素。
調理法 この料理を拵えますには、雲呑皮の作り方から覚えねばなりません。雲呑皮を簡単に作りますには、メリケン粉100匁ならば炭酸ソーダ1匁位を盃2杯位の水に溶かし塩一つまみと共に粉に入れて、上下左右にかき回してから徐々に水を加えながら板の上で延ばし得る程度に捏ね合わせ、片栗粉を振りながら延ばしますと、いくらでも薄く延ばせます。それを方形2~3寸に切れば出来ます。
 さて次に干瓢は塩揉みして良く水で洗い、水煮致しますと非常に早く軟らかになります。それを細く切り、椎茸も軟らかにして石つきを取り細かく切り、これら2品を同時に油炒りとし、醤油と味の素で炒りつけるように味をつけます。それを雲呑皮に適量づつ巻き込み、干瓢で真中を結びます。それから再び油少量を煮溶かした中で油焼とし、別鍋に醤油と味の素で薄味の汁を作り、煮立ったところへ油焼した材料を入れザット煮込んでそのまま皿に盛り付けて供します。

椎茸の煮汁の取り方
◎水1升に椎茸5匁(小間一つかみ)を用います。椎茸は水にちょっとと浸して、良く洗い、根元を切り捨て、お鍋に水を入れて、その中に浸して置きます。椎茸が少し軟らかくなった時、そのまま火にかけて、3~4分間煮立て、火から下ろして上澄みを取ります。

椎茸を軟らかく煮る秘訣
◎椎茸を生のように軟らかくするには茶がらを煎じた湯の中に15~16分間浸すことである。そして煮る場合にはトロ火で徐かに煮ると特有の香気を失わない。
◎また、ぬるま湯に砂糖一つまみを加え、その中に浸すと1~2分間で軟らかくなる。長く水の中に浸すと香気が薄くなるから、この方が一番良いようである。
◎しかし、極軟らかく、老人向きに賞味しようには、2~3日間水に浸しておくと良い。こうして煮上げると、生椎茸と同様、口の中で溶けるように軟らかい。

椎茸の効用
◎関西地方では、船酔いを起こし易い人が椎茸1~2個を肌身につけていると、酔い方が軽いという迷信がある。
◎感冒に罹った時、椎茸を煎じて-湯が2分の1に減るほど煮詰める-飲むときっと癒るという。
◎怪我した時、血止めに椎茸の黒皮を塗ると即座に止まるという。
◎また、香茸は毒消しになるといいます。



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