乾物の知識



和 布

解 説 食用海藻中の重用品。昔から鳴門和布で通っているほど、徳島県産が著名ですが、三重、兵庫、島根、岩手4県下を始め本邦到るところの沿岸で多少は生産されるものです。その乾燥仕上げの方法により幾多の種類に分かれます。例えば塩乾和布、鳴戸和布(灰干和布)、湯抜和布(ゆぬきわかめ)、塩抜和布、素乾和布、熨斗和布、亂乾和布(みだしぼしわかめ)、糸和布という類ですが、これらはホンの仕上げ方が土地毎に異なるだけのことで、一般に需要されるのは
 「鳴戸和布」 採取後、灰をまぶし、砂上にひろげて乾燥し、やや乾いた時に灰を払い落とし、再び乾燥して仕上げたもの。
 「塩乾和布」 岩手県南部地方に行なわれる方法で、採取した和布を海水で洗い、のち乾燥させたもの。これが徳島県の生産者の手に渡り、鳴門式に再製されて、いわゆる「鳴戸和布」になるともいいます。
 「熨斗(のし)和布」 和布を細かく裂いて板の上に伸ばし、平つたくして乾燥したもの。
 「糸和布」 和布の硬い筋を去り、分葉を一枚づつ撰って(よって)乾燥したもの。
の四種であります。

成分及栄養価 和布は若芽、若女、若目などに通じ、昔から一種の若返り剤だといいます。成分表によると水分17.01%、蛋白質10.07%、脂肪0.33%、含水炭素(炭水化物)38.90%、灰分34.70%、カロリーはグラム当り2.04、匁当り7.65ですが、海藻類の中では最も多量のカルシウムを含み、発育盛りの子供や妊婦などには大切な食品だと推奨されています。殊に(ことに)普通食料品のカルシウム含有量は何れも微量なもので、牛肉の如きは僅かに一万分の七に過ぎぬが、和布は実に一万分の443に及んでをり、昆布、荒芽などと共に生理的効用は著しいようです。

用い方 縁起物として神饌に缺(か)いてはならぬは人の知るところ、わが国上代からの食品でどこの家庭でも毎朝の味噌汁の実として用い、また酢味噌、三杯酢その他和え物、筍や豆との煮合わせ等に用います。下記に料理法数種を掲げます。

調 理 例

1、和布信田
材 料 鳴戸和布三把、油揚三枚、酒五尺、醤油三尺、砂糖15匁(56,25g)、味の素、塩、水二尺
調理法 和布を水に浸してザッと茹で、絞って揃え、油揚の長さに切り、つぎに油揚の三方を切って開き、和布を巻いて干瓢にて2,3箇所を結び、調味全部を鍋に入れ、煮立ちたる中に並べ入れ、味のつくまで煮て、後に5,6分の小口切りとして皿に盛り、水唐子をかけて供えます。

2、和布の柚釜
材 料 柚子6個、和布2把、酢2尺、醤油小匙1杯、砂糖大匙1杯、味の素、塩
調理法 茹で上げた和布を2,3分の小口切りとします、柚子は五ツだけ枝付きの方2分位の所を切り取り、八分の方の中身を取り出して皮をよく洗って置きます、次に残りの一ッの柚子は皮を剥いて、その皮をみじんに刻んで置きます、柚子二つ分の酢をしぼり取って、それに酢に合わせ、それと同量の水を割って味の素、砂糖、醤油を加え混ぜ、前の和布を和えて柚釜の中に詰め、枝付きの方を蓋にして皿に盛ります。

3、摺り流し汁
材 料 和布の砂を落として焼いて粉にしたもの大匙1杯、玉子3ツ、水2尺、砂糖小匙1杯、葛粉大匙1杯、煮出汁4合、醤油、塩少しずつ、味の素
調理法 和布の粉と玉子を合わせ、水2尺と味の素および砂糖をよく混ぜ合わせて置きます、次に煮出汁を煮立たせた中に醤油、塩、味の素にて吸味を付け、葛粉を水溶きして流し入れ、汁にとろみを持たせ、その中に前の玉子の材料を片口か丼に入れて静かにたらし入れ、一回沸かして火より下ろし、碗につぎ入れます。
注意 和布は黒焼きにするのではありません、乾燥して粉になるほど香気が出ればよい。

4、辛子浸し
材 料 和布2把、辛子粉大匙2杯、砂糖大匙1杯半、味の素小匙4分の1、醤油2尺
調理法 和布は水に浸してザツと茹で、絞り上げて小口より切ります、次に擂鉢にて辛子をすり、砂糖、醤油、水3尺、味の素を入れてよく摺り合わせた中に和布を入れて和えます。

5、和布飯
調理法 和布を火取って微塵に揉みほぐし、それを荒ごしにして塩仕立の温飯(ぬくめし)に混ぜます。

6、和布ぬた
調理法 和布を5分位に切り、独活の短冊切りとともに辛子味噌に和えます。木の芽を上に添えると一層よい。

7、鳴戸煮
材 料 馬鈴薯100匁(375g)、和布5匁(18,75g)、煮出汁(煮干)3合、砂糖3匁(11,25g)、醤油2勺 
調理法 和布は20分間水に浸して後細かに刻み置く。馬鈴薯は皮を薄く剥ぎ小口切りにして水にて一度洗い、水気を断ってから鍋に入れ、煮出汁と和布を加え暫時煮て、馬鈴薯の半ば軟らかになった頃砂糖を加え、尚暫時煮て醤油を注し、味加減をする、馬鈴薯に十分味つくを見計らい器に盛りて供す。

8、志摩煮
材 料 筍、和布、煮出汁(煮干)3合、砂糖3匁(11,25g)、醤油2勺 
調理法 筍は米糠(こめぬか)少々を入れたる水にて軟らかに茹で、冷水に取って丁寧に洗い、水気を切り、小口より細かに刻み、和布は水につけてよく洗い、水気を搾り、細かに切り、筍と共に火を入れ、煮出汁を加え20分間煮てのち砂糖と醤油を入れ、尚暫らく煮て火より下ろして供す。

9、アチャラ煮
材 料 和布、筍、酢5勺、砂糖中匙1杯、紅蕃椒(紅唐辛子)2本 
調理法 筍50匁(187,5g)を軟らかに茹で、水にて能(よく)洗い縦2つに切り、小口より薄く刻み置き、つぎに和布を水に30分浸した後細かに刻み、丼鉢に入れ、筍を加え、酢と砂糖を細かに刻みたる紅蕃椒(紅唐辛子)を混和して漬け込み、2~3時間の後食用に共せば味最もよろしい。(漬け込む時に酢と砂糖と紅蕃椒(紅唐辛子)を入れ一度沸騰せるものを用いれば一層よろしい、また筍の皮の白き部分のみを刻んで日光に乾し貯え置く時は臨時の用に立ちます)

10、鰻和布巻
材 料 鰻200匁(750g)、和布100匁(375g)、筍小150匁(562,5g) {10人前} 
調理法 鰻を開き、骨を抜き、白焼にして長さ3寸位に切り、さらに細く切り、和布を鰻の長さ位に切って幾重にもこんぶ巻きの様に鰻をシンにして巻き、細き昆布で真中を二ヶ所括り、味醂少々、昆布、鰹節の出汁、薄口醤油、白砂糖を加減しトロ火で和布の極柔かくなるまで炊き上げ、横2つに切り、切口を上に出して鉢に盛ります。また筍は細かに切り、薄味を付けて煮上げ、和布巻にあしらいます。



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