乾物の知識



凍豆腐の調理例

1.高野豆腐の田楽
材 料 白味噌(50匁・約187g)、柚(1個)、砂糖、味の素、凍豆腐(5個)、出し汁、醤油、味醂。

調理法  凍豆腐は普通よりも薄味に煮ておきます。別に柚(ゆず)の皮を卸金でおろし、サット熱湯で茹で、笊に布巾を敷いてその中に流し込みます。あとの分は輪切りにして汁を絞り取って酸味を除き、ミジンにきざみます。以上を味噌と共に鍋に入れ、水でどろどろにゆるめ、砂糖を加えて程よく炊きます。
 豆腐を十文字に切って四つ並べ、竹串をさして味噌をぬりつけ、味噌の方だけ強火で一寸(ちょっと)炙ります、味噌がかわいた程度に炙ってもよろしい。はじかみを熱湯で茹で、直ぐ甘酢に漬けたのをあしらってよく、また味噌を柔かに炊揚げて、高野の上からかければ「柚みそかけ」になります。 胡麻味噌なれば、胡麻を炒って、すり鉢の中で形のなくなるまですりつぶし、味噌と共に炊上げればよろしい。

2.からまぶし
材 料 高野豆腐(5個)、醤油(5勺)、味の素(1匁・約3.75g)、卵(大1個)、みりん、魚の身(50匁・約187g)、塩、酢、砂糖、紅生姜、みつば
調理法 高野はつぶしたのを用います。まず鍋に胡麻油を煮立て、煙の立った時高野を入れ、よく杓子でいり上げ、みりん、醤油、砂糖を加えて味の素にて加減をいたします。焦がさぬ様に鍋の底に杓子を入れて炊き上げ、最後に卵を加えてサット炊上げ、充分に冷まして置きます。魚は鯛鯖、鰯等いずれも三枚におろし塩をして、1時間経ってから洗って甘酢に浸し、適宜に切り出したのを、前の高野とまぜ合わせて器に盛り、紅生姜の糸切りを少しのせ、その上にみつばの葉を取った茎だけのせます、(みつばの葉をむしり捨ててサット熱湯で茹で一分位にきざむ)。なを卵の薄焼を錦糸に切って上にのせ、その上に紅生姜とみつばをのせてもよろしい、これはからまぶしの上等です。

3.オムレツ
材 料 高野豆腐(3個)、玉葱(50匁・約187g)、人参(30匁・約112.5g)、卵(中十個)、味の素(二匁・約7.5g)、バター(十匁・約37.5g)、パセリ、水(1合5勺位)
調理法 高野はつぶし、玉葱及び人参は卸金でおろしたのを汁と共に入れ、よくまぜ合わせておきます。鍋にバターを半分ばかり入れ、煙立った時右の品を入れて手早くいり上げ、味の素を適宜に加え、塩醤油にて加減して五つにわけておきます。別に卵を二個づつよくほぐしておき、右の材料を一人分づつ入れてよく混ぜ合せておきます。フライパンにバターを解かし余分は皿にでも流し出しといて、前の卵汁を一時に流し込みます、まず周囲から焼き始めます、この時に手早く全体をかきまぜて、半煮えの時に鍋の向う側へ押しよせ、鍋の手前を下げて向こうにすっと上げ、箸を卵の向こうへ少しさし入れて手前にころりと打返します。そして皿の中へすべり出しますのです。パセリの葉を一枚そえます。

4.ソリ高野
材 料 高野豆腐(5個)、荀(30匁・約112.5g)、胡麻油(3匁・約11.3g)、味の素、出汁(1合5勺)、醤油、味醂
調理法 高野はもみつぶして置きます。筍はみじん切りにして熱湯でサット茹で笊に揚げておきます。胡麻油を鍋に入れて煙の立った時ニ品共に入れて充分にいり付けます。そして出汁を加えなお味醂と醤油と砂糖を加えて中火で汁のなくなる迄いり揚げるのです。

5.卵じめ
材 料 凍豆腐(5個)、卵(50匁・約187.5g)、百合根(20匁・約75g)、みつば(半把位・半つかみ程度)、出汁(3合)、みりん、醤油、砂糖、油(少し)、椎茸(2匁・約7.5g)
調理法 凍豆腐はつぶし、百合根は一枚ずつはずしたものを半熟位に茹で、みつばは葉をむしり捨て、茎だけを二分位に切って置きます。椎茸は水に浸してからミジン切りにいたします。以上の内みつばだけを除いて全部一緒に鍋に入れ出汁、醤油、味醂にて加減し、なお砂糖は極少量加えてもよく、中火で暫らく焚くのです。汁が半分ばかりに煮たった時、火からはづし卵を解いて半分入れよくまぜます。別にフライパンに油をぬりつけ、火にかけて煙の立始めた時、前の豆腐を平らにならし、残りの卵を一緒に流し込んで、みつばをふりかけ、上にのる蓋をして火からはずします。これを適宜に切り蓋物などに入れ暖かい中にすすめます。

6.茶碗蒸し
材 料 高野豆腐(3個)、卵(50匁・約187.5g)、眞丈(1枚)、百合根(30匁・112.5g)、椎茸(小10枚)、銀杏(15個)、砂糖、味の素出汁(2合5勺)、味醂、醤油
調理法 眞丈は十切りにして一人二枚づつに致します。百合根は一枚ずつはなし半茹でに、椎茸は其の漬汁に醤油と砂糖を少量加え薄味をつけておきます。銀杏は渋皮のままで熱湯の中に投じ、半分ばかり皮のはずれて来ました時、水に引き揚げて皮の残りをめくり取り、これを平らに半分にへぎます。以上茶碗5個に形よく盛り込みます。
 高野はすり鉢に入れてよくすりつぶし、卵を割り込んで、よくすりまぜて出汁で薄め、味醂と醤油にて味を付け、前の茶碗の中に八分目位まで注ぎ込み、蒸器に入れて30分ばかり蒸します。蒸器の蓋は時折はずし裏面に溜まった露を取り去ります。これを取ることを忘れると、卵は穴だらけになって舌ざわりが悪いばかりでなく、非常に不味いものになります。時間は先ず30分間ばかり蒸さなければ中までかたまりにくいものです。(以上大阪割烹学校長 的場 多三郎氏)

7.精進の凍刺身
材 料 凍豆腐(10個)、砂糖(15匁・約56.3g)、葛粉(大さじ2杯)、塩(少量)、味の素
調理法 凍豆腐をもみほぐしてバラバラになし、砂糖、食塩、醤油1、2滴を加えて煎豆腐の如く煎りあげ、味の素を加えます、これに葛粉を入れて混ぜ合わせ、枠に詰めて蒸しあげ、冷やして切ります。

8.酢の物
材 料 凍豆腐(15個)、生豆腐(半丁)、白胡麻(5勺)、砂糖(大さじ2杯半)、酢(3勺)、塩(少量)、水(若干)
調理法 凍豆腐5分位の大きさに賽の目切りとします。胡麻を煎ってよくすり潰し、豆腐を絞ってすり混ぜます。砂糖、酢を入れ、なお水若干と前の凍豆腐を入れて和えふくませて器に盛ります。

9.煮物
材 料 凍豆腐(10個)、八方汁(2合)
調理法 八方汁は水2合、砂糖10匁(約37.5g)、酒5勺、鰹節3匁(約11.25g)、味の素5分、醤油5勺を鍋に入れて沸騰させ、水ふるいで漉したものです。その汁に凍豆腐を入れて含ませるのです。色を白く煮上げるには醤油を控えて食塩で補い、甘味をつけるには砂糖を増して下さい。

10.揚げだし
材 料 凍豆腐(20個)、小麦粉(2合)、玉子(1個)、天つゆ(2合5勺)、生姜(少量)、片栗粉(若干)、胡麻油(2合)
調理法 小麦粉をふるって鉢に入れ、水1合5勺ほど入れ、ざっと混ぜ合わせ、玉子を加え、天ぷらの衣を作って置きます。凍豆腐は煮物と同様に煮上げ、軽く汁を絞って置き、片栗粉をまぶし、天ぷらの衣をつけ、胡麻油で揚げます。生姜は針打ちとして添えます。

11.こはく蒸し
材 料 煮上げた凍豆腐(20個)、玉子(1個)、葛粉(若干)
調理法 煮物と同じ煮方をして汁を軽く絞り、玉子を溶きて浸し、葛粉にまぶして蒸します。(注意)掛け醤油は醤油に煉り辛子少量と味の素を加えたものを用います。

12.焼き物
材 料 煮上げた凍豆腐(20個)、赤味噌(40匁・約150g)、みりん(5勺)、砂糖(20匁・約75g)、玉子(2個)
調理法 味噌を漉して砂糖、みりんを加え強火にかけてねり、火よりおろして味の素を加え、冷めたところで黄身を混ぜ合わせて置きます、前掲通りに煮た凍豆腐を手の平で軽く押さえて絞り、玉子の白身にまぶして串に刺し、火にかけて焼き、味噌を刷毛につけて塗り、再び火にかけてサッと焼きます。



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